スタッフ紹介

お客様の喜びが最優先。
そして、お客様の喜びのためには、
従業員が幸福であることが不可欠。

代表取締役 鹿倉弘之

みやこ食品は、一人暮らしの高齢者の方にお弁当を届ける会社です。もちろん、365日休まず営業しています。お盆もお正月も、うちのお弁当を待っているお客様がいますからね。

従業員は、社員やパートすべて合わせて70人ほどです。下は19歳から、上は70代まで。障碍のある人や外国籍の人もいて、多様で個性豊かです。小さい会社なので、みんなお互いに名前と顔が一致していますよ。調理師・栄養士・配送員・事務員と、部署間の連携が取れているのも、この規模の会社ならではですね。

私は役職こそ社長ですが、厨房で盛り付けをしたり、今も現場で働いています。去年まではずっと、配達にも出ていました。お客様にお弁当を届ける配送員です。自分の経験から、配送員には「お客様には親身になって声をかけなさい。そのほうが、自分が楽になるから」とアドバイスしています。

というのも、なかなか心を開いてくれないお客様もいらっしゃるんですね。ときには追い返されてしまうこともある。しかし、そこでお客様のことを嫌いになってしまったら、翌日からその家に行くのが辛いですよね。だから、自分から親身になって声をかけるんです。「ご飯が進まなければおかゆもできますからね」「今日は暑いから窓を開けましょうか?」など。根気強く続けていれば、やがてお客様のほうから「今日のおかずは何だい?」などと話しかけてくれます。お客様も嬉しそうだし、自分も仕事がしやすくなる。親身になるのは、いいことしかないんです。

とはいえ、過剰サービスになってはいけません。お客様から買い物を頼まれることがありますが、それは断るよう指導しています。我々が買い物を引き受けることによって、ご本人の外出機会が減ってはいけませんから。体が悪くて買い物ができない方は、ヘルパーさんがやっていますし。

ただし、お客様にとって真に必要なサービスであれば、積極的におこないます。たとえば、「お客様宅のエアコンの電池が切れていたら必ず交換するように」と伝えています。ご高齢の方は、電池が切れていることに気づかなかったり、壊れたと思い込んで放置してしまうことがあるんです。猛暑でエアコンが使えないと、命に関わりますから。

今後はもっと、介護者の負担を軽減するような取り組みをしていきたいですね。それは高齢者のためのみならず、高齢者社会を生きる若者のためにも必要だと考えています。

従業員を大切にすることが、
お客様を大切にすることに繋がる

社長の私の役割は、従業員を幸せにすることです。

そう言い切ってしまうと、「お客様を第一にすべきだ」と思われるかもしれませんね。しかし、従業員を大切にすることが、お客様を大切にすることに繋がるんです。

どういうことかと言えば、配送にしても見守りにしても、私ひとりがお客様に直接できることは限られています。ならば、まず私が従業員の幸せを追及することで、心が満たされた従業員がお客様に尽くしてくれると考えています。するとお客様が感謝の言葉をくださって、私たちがますます頑張ろうと思える。この循環を作るのが、私の仕事なんです。

だから、みんながイキイキと働ける環境を作るため、さまざまな工夫をしています。

そのひとつが“サンクスカード”です。たとえば、Aさんが「Bさんが荷物を運ぶのを手伝ってくれました」などとカードに書くんですね。すると、書いたAさん、書かれたBさんに手当てが支払われます。これを導入してから、みんなよく「ありがとう」を言うようになりました。

ほかには“お手伝い手当”もあります。一般的な会社では、上に立つ人ほど役職に応じた手当てがつきますよね。けれど、人の上に立つのは苦手でも、みんなが働きやすいよう自主的にお手伝いをしてくれる人がいます。車の点検をしてくれる人、朝からみそ汁椀の蓋をしてくれる人、朝礼で元気なかけ声をかけてくれる人……。

それぞれが、自分の得意なことを活かして頑張っている。その頑張りに報いることができるよう、私もさまざまな改善に取り組んでいるところです。

創業者である父がくれた
「お客様の喜びが先、儲けはあと」の教え

みやこ食品は私の父が築いた会社です。

父はよく、「お客様の喜びが先、儲けはあと」と言っていました。正直言うと、若い頃は「そんなの綺麗ごとだろう」と思っていましたよ(笑)。しかし、いざ自分が社長をやってみると、本当にその通りだった。お客様が喜んでくれると、利益はあとからついてくるんです。

たとえば、15年ほど前に「ホット&コールドシステム」を導入しました。温かいおかずは温かいまま、冷たいおかずは冷たいままお届けするシステムです。最初は赤字でしたよ。厨房に大きな温蔵庫を設置し、車中も冷暖房をつけっぱなしのため、コストがかかるんですね。それでも、お客様に温かいご飯を食べてほしい。その一心で続けていたら、やがて軌道に乗りました。

また、お客様の誕生日にはバースデーカードをお渡ししています。内容は、誕生日のお祝いと、「皆様の過去のご苦労のおかげで今がある」ことへの感謝です。

あるお客様はお電話口で、「カードを読んで、戦死した父と弟を思い出しました。ありがとうございます」と涙ながらに仰いました。その言葉に、私たちも感無量になりました。お客様にお礼を言われると、私たちはますますこの仕事に誇りを持つことができます。

お客様の喜びが最優先。そして、お客様の喜びのためには、従業員が幸福であることが不可欠。

このことを胸に刻み、今も日々、お客様と従業員に学ばせてもらっています。