スタッフ紹介

季節を感じる献立、
配送員とのコミュニケーション。
すべてが、お客様のQOLにつながる

栄養士 斉藤郁子

私の主な仕事は、一ヶ月ぶんの献立を考えて献立表を作ること、食材の発注をすることです。もう10年以上、みやこ食品の献立を決めていますね。

基本となる献立は102種類。それをローテーションしつつ、たまにご当地メニューや季節のメニューを組み込みます。また、お客様にお渡しする献立表も作成しています。

旬の食材は栄養的にいちばんパワーがあるので、なるべく使うようにしています。そして、食材をアピールできる献立名にする。たとえば「夏野菜の○○」と書いてあれば、お客様も「トマトかな、きゅうりかな」と、食事が届くまでワクワクできますよね。

季節のイベントも大切にしています。桃の節句は桜餅をつけるし、お正月はおせち風に。

七夕にそうめんを入れたら、目の見えないお客様から電話があって、「あそこに入ってたのなに?」と聞かれました。「七夕なのでそうめんです」と答えたら、「あぁ、七夕だったのね」とおっしゃって。食べて、四季を感じるきっかけになると思うんです。あまり家から出られない方も、お弁当から季節を感じてほしいですね。

お客様から味の感想をいただくことは多いです。あと、うちはメイン変更ができるんですよ。たとえば、その日のメインがカツだったとして、カツが苦手な方はロールキャベツやコロッケに変更ができる。メイン変更の連絡が多いと、そのメニューは人気がないとわかります。人気のないメニューは廃止して、評判のいいメニューは継続します。

人気メニューは天ぷらとカレーです。ご高齢の方はあっさりしたものを好むイメージがあったので意外でした。天ぷらって、家で一人ぶんを作るの大変ですよね。スーパーで買えるけれど、買いに行くのが困難な方が配食サービスを頼むわけで。だから喜ばれるのかも。

気をつけているのは、ご高齢の方にとってなじみの薄い食材を使わないこと。私たちの世代にとっては当たり前のことも、お客様世代では当たり前じゃない。それは肝に銘じています。

ただ、時間が経つと当然、お客様の年代も変わってきます。10年前に60代だった方は、今70代。今はあまり受け入れられないメニューも、きっと10年後は受け入れられていると思います。それは、様子を見て少しずつ変えていくつもりです。

普通食・きざみ食・ムース食。
多様な食形態で、食べることを楽しんで

お客様が自分にあった食形態を選べるよう、普通食・きざみ食・ムース食を用意しています。

きざみ食は、普通食と同じものをカットして出します。一般的な「一口サイズ」よりもだいぶ小さく切りますね。

ムース食は、手作りと既製品を両方使っています。というのも、普通の食事をミキサーにかけてドロドロにしちゃうと、見た目が美しくないんですよ。

その点、既製品のムースは見た目や味もちゃんと再現されています。今は、お新香のムースまであるんですよ。見た目は本物のお新香そっくりで、口の中に入れるとスッと溶けるんです。質のよいムース食品が各種メーカーから出ているので、重宝しています。鯖の味噌煮だったら、魚のムースは既製品で、タレだけ作って絡めたり。

私が入社した頃は、ムース食がなかったんです。だけど「今後は多様な食形態が必要だ」と思い、やり方を考えました。既製品と手作りの割合、どのメーカーの製品を使うか、ムースを手作りするときの分量……。食材によって水分量が違うので、まずは自分で試してみるしかないんです。何度も作って味見して、試行錯誤の末に今のかたちになりました。

みやこのお弁当 きざみ食

食事って、ただ「食べられればいい」ってものじゃないと思うんです。

ムースであっても、料理本来の見た目と味を楽しんでいただきたい。きっと多くのお客様が、その料理の記憶を持っているから、それを大切にしたいんです。

味も栄養も大切。
だけどいちばん大切なのは、お客様のQOL

月並みですが、「ありがとう」と言われると仕事冥利に尽きます。新しいメニューを作ったときに「これ美味しいね」と言われるのも。

また、みやこ食品を卒業されるお客様がいるのも嬉しいです。どういうことかと言うと、「自分で用意できないから配食を頼んだけど、食事を持ってきてもらううちに、また料理がしたくなったの。だからやめにするわ」とおっしゃるお客様。たまにいるんですよ。きっと、配送員とのコミュニケーションも刺激になったんだと思います。

配食サービスは食事の確保が目的だけど、それだけじゃない。最終的には、お客様のQOLが上がることを目標としています。

だから、食事で季節を感じたり、配送員とお喋りすることによって生活意欲が湧いてきたなら、とても嬉しいですね。